PEVO Interview 6 / ヴォルキスを曲げる

―― 前々から疑問だったんですが。再発盤はメカノ専売ですけど、宇宙人だったら流通や電波を乗っ取るとかできるでしょう? 今はダウンロード配信だってあるし。

1号 いやいやいや。CDであるところに意味があるんですよ、あれは。

4号 そ、そうなんですよ、CDじゃないと意味が無い。

―― 何でですか? 実はあの店の奥にPEVO星につながるバックドアがあるとか。

1号 あー、うーん。

―― そういや、あの店長も怪しい感じですよね。

4号 それは否定しませんけどね。

1号 はい、まったく否定しません。

PEVO1号(左)、怪しい中野店長(中)、PEVO4号(右)

PEVO1号(左)、怪しい中野店長(中)、PEVO4号(右)

―― それにしても侵略するなら演奏活動なんて必要ないじゃないですか。素直に街を焼きつくすとか、人類皆殺しにするとか。音楽だなんて、まどろっこしくないですか?

1号 実はあのCDには“サイン波”が入っているんですよ。シンセに入っているようなサイン波ではなくて、催眠光線のような、特殊な波長の信号です。地球版を出すときにそれがバレないように色々配慮しています。

4号 へーっ。そうだったんですか。へー。

―― へーって、あなたPEVOのくせに何で知らないんですか。

4号 いや、僕は3号がライブに出ないって言うから、突然「お前、とりあえず高円寺に来い」って言われたんで。このバンドのことは良く分かってないんですよ。まさかヴォルキス・プロラデュークと一緒に出ることになるとは思いませんでしたから。

―― あなたはヴォルキス・プロラデュークが嫌いですか?

4号 いやいやいや! そんなことは決して! 僕は彼ほど上手くヴォルキスを曲げられないんです。ただそれだけ。

―― その「ヴォルキスを曲げる」というのは?

1号 地球語に直訳するとそれ以外にどうしようもないんですが。ヴォルキスはボイス、音とか歌という意味なんです。それを曲げるみたいなことですね。

―― つまり音声をコントロール出来る人、と。

1号 そうかも知れません。

―― 1stアルバムのヴォルキス・プロラデュークの声はピッチが高くて、2度ほど下げると、地球で聴く彼の声に近くなるんですが。どういう意図でこんな処理になっているんでしょう?

1号 それはPEVO星と地球の大気が異なるからですね。

―― ヘリウムガスを吸うと声のピッチが上がるみたいな?

4号 そうです。地球の大気は音が遅いんで、上手くピッチが上がらない。だから僕も苦労していて。でも地球の大気に慣れたヴォルキス・プロラデュークがPEVO星に来ると、もう軽々とヴォルキスを曲げてしまうんですよ。

1号 で、まあ儀式にはヴォルキスを上手く曲げる人が必要だというので「前に連れてきたあいつをまた連れてこい」というスポットの司令があったんです。

―― 「前に連れてきたあいつ」というのは、ヴォルキス・プロラデュークのことですね?

4号 そういえば、あの人、こないだ気になることをローディの子に言ってましたよ。「いつもおかしな現場ばかりでごめんね」って。

1号 お、おかしな現場って……。

―― ヴォルキス・プロラデュークにローディいるんですか。

1号 楽器周りの世話をする人が必要だというので、一緒にPEVO星へ招待したんですね。あの人は自分でギターの弦も張替えられないので。テラヴスは堕落していると思います。

―― あの人が特別やる気ないだけで、地球の成功しているミュージシャンはみな勤勉です。

4号 で、あの、そんなにおかしいですか? 我々の現場って。

―― だって、そもそも宇宙人がライブっておかしいでしょう。

4号 そういえばお客さんも、なんか気が付くとニヤニヤしてるんですよねえ……。

1号 あれ気になるよね、なんだろ。

4号 僕ら真面目にやってるつもりなんすけど。

―― じゃ、先日のライブ、というか儀式でのお客さんの印象はイマイチ?

4号 いえ、僕は生まれてこのかた、あんな人がいっぱいいて盛り上がったライブには出たことないですから。

―― 4号さんはPEVO星でライブの経験は?

4号 ないです。今回もホントにちょっとだけ、急遽バイトなんで。

―― にしては上手いですよね。

4号 あ、ありがとうございます! ヴォルキス・プロラデュークにも褒められたんですよ、ステージ終わって楽屋帰ったら開口一番「良かったよー」って。

―― じゃ、別にあんな地球人いらなくないですか?

4号 いやいやいや! あの人が出るとトーンが上がって、やっぱりすごいと思いましたもん。あの人はすごい!

―― まあ、あの人はああ見えても、日本ではちょっとは名の知られたミュージシャンなので。それはご存知でしたか?

1号 はい。ただ、テラヴスにあそこまで人気があるとは知りませんでした。我々はヴォルキスのよく曲がる人を探していていただけなんですが。

4号 リハスタにも来られたんですけど、その時に「猫背になっちゃダメだ! 胸張ってやりなさい、PEVO人らしく!」って。ハイ分かりました!って。まあ、そのおかげもあって、あの会場の盛り上がり。

1号 お客さんも満員だったし。我々の地球侵略作戦は大成功でしょう。

―― いやいやいや。まだまだ全然ダメですよ、あれくらいの動員じゃ。PEVO星には売上とか動員数を報告していないんですか?

1号 PEVO星人はそういう数には関心がないんです。どういう人間に植えつけたかが重要なんであって、常にPEVO星人は数値で客観的に見ようとはしないので。

―― とはいえ、もうちょっと有名になってもらわないと私が困るんですよ。「PEVO」って言っても話が通じない上に、友だちが減る。

4号 じゃあ、どうやったらもっとウケるか、ちょっと一緒に考えましょうよ。

1号 正直言うと、もう少しいろんなテラヴスにサイン波をお見舞いしたほうがいいとは思っているんですよね。