Archive for January, 2010

「音楽を無料で配信してライブで稼ぐ」だって?

Saturday, January 16th, 2010

 音楽を無料で配信してライブで稼ぐビジネスモデル。なーんてことを言ってるヤツは甘いと思っている。

 成功例としてマドンナやプリンス、レディオヘッドなんかが引き合いに出されるけれど、それは予めメディア上での価値を築いていたからに他ならない。

 でも、それがライブで稼げるビジネスモデルを成立させる源泉だ。そこで音楽が無料か有料かは関係ない。たとえ無料で配信しようが、それだけでメディア上での価値を稼げるわけではない。

 このバンドをつかの間マネジメントして実感したのがそのことだ。→ http://ja.wikipedia.org/wiki/THE_BIG_HIP

 まさに「音楽を無料で配信してライブで稼ぐ」ことを目指して、当時としては珍しくPodcastやYouTubeを使ってプロモーションを展開していた。著作権関係がフリーだったからこそ可能な手段だったし、そのアドバンテージを使うしかない状況だったとも言える。

 しかし、最終的にこのバンドは著作権問題に振り回され、スタッフもメンバーも疲弊して活動を終えている。私が改めて知ったのは、この業界と、この業界にぶら下がりたいと今だに熱望している人々の無知だ。

 バンドが活動を終える直前、私は大学の授業にこのバンド呼んで学生にビデオを撮らせ、完成したものをYouTubeに上げるという課題を出した。しかし課題提出日になってJASRAC登録不可避の状況となり、アップロードされた動画の削除を余儀なくされた。2007年の時点でJASRAC登録曲を合法的にアップロードできる動画サイトは存在しなかったからである。

 だが、同じタイミングで、このバンドのPVをアップロードするために取ったニコ動のアカウントが、ようやく使えるようになった(当時は順番待ちだった)。それで初めて聴いたのがbakerさんの曲だった。ヤーさん紛いと電話でやりあうより、こっちの方が全然生産的だし、そこには無血革命の可能性もあるだろうと思った。

 それから3年経って現在の状況がある。

 仮に先のバンドが著作権問題を抱えなかったとしても、ネット上での価値を築くのは難しかったかも知れない。たとえ有名バンドに在籍した経験があっても、フロントマンでない限り、商業構造から抜けてしまえばゼロスタート。ライブで稼げるビジネスモデルとやらを構築することも同様だ。

 そもそもネット上のプレゼンスは、誰かに任せておいては獲得できない。本人が自らインターネットを駆使し、コンテンツを操作しないと。だってライブハウスの出演者に代役を立てたらお客は怒って帰るに決まってるでしょう。

 つまりメディア上での価値を稼ぎたいと思ったら、自分でやりなさいってこと。昨日、まつきあゆむ君に取材して改めてそう思ったよ。→ http://matsukiayumu.com/